解散

CORE OF SOULが3月24日をもって解散するそうです。今日の正午にメールマガジンOfficial HP*1で公表されました。この日は心斎橋のクラブクアトロでライブがあるのですが、それをもってラストライブということになる、と。先日書いたように、私はたまたまチケットを取っているので、それに居合わせることが出来そうです。CORE OF SOULのライブへ行くのは2回目、実に3年ぶりなのですが、まさか最後のライブになるとは思っていませんでした。運がいいというか何というか…
私はそれほど熱狂的な彼らのファンではありません。アルバムは買ったり借りたりですし、ものすごく聴きこんだということもあまりなかったように思います。以前の記事*2でも書いたように、私がこのグループの音楽を聴き始めたのは『Flying People』という2002年のシングルから…それ以前に発表されていた1st Albumももちろん遡って聴いていますが、全ての曲を知っているというわけでもありません。もちろん、残念ではありますが、あちこちのブログやmixiのような場所で言われているような「信じられない」などといったことはありませんし、感情的に受け止めることもありませんでした。実際、この解散の布石になるような動向もありましたし…特別ヒットしているわけでもないのに、先日出たアルバムに続いて、2月にビデオクリップ集、3月にはファン投票によるベスト盤をリリースし、そしてアジアツアーと、今思えば何か急いでいるかのようなところがあったんですね。今日の発表を知ったときも、なるほど、といった感想を持ちました。
この前に、最新アルバムについては少しだけ触れましたが、この機会にこの解散のことと絡めてしっかり書いてみようと思います。時間があってある程度聴くことも出来ていますので、解散を冷静に受け止めた人間なりに書けたらいいかな、と。
『ONE LOVE,ONEDAY,ONE LIFE!』、メンバーがOfficial HPに出したメッセージにもあるように、ある意味で彼らの完成形というか集大成的なアルバムではないかな、と思います。それは、Bonus Tracksで初期の曲をシンプルな形に演りなおしたということもそうですし、それ他の部分のアルバム構成からも言うことが出来るように思います。
『希望ヶ丘の風』という爽やかかつ力強い曲でこのアルバムは始まります。どこか『Flying People』を思い起こさせ、私好みであることもありますが、それを差し引いても興味深い曲だと思います。詞が、珍しくFukko(Vocal)とSong Rui(Guitar)の合作であること、Song Ruiの作曲にしてはアクのない曲調であること…もともとCORE OF SOULでは、曲によって違うメンバーが作詞・作曲を担当し、そのことから生まれるmixture的な側面がグループの特徴としてよく言われていたのですが、しかしそれは同時に微妙なものでもあったのだと思います。取り入れられる要素によって、曲ごとのゆらぎが非常に大きくなってくるんですね。このグループの曲を聴いてみれば分かりますが、時期によって、あるいは同じアルバムの中でさえ、その音楽性は一定ではありません。初期でこそ、その不思議な音作りがもてはやされていたようですが(1st Albumを聴くと、その圧倒的な作り込みに今でも新鮮さを覚えることは確かです)、2nd Albumあたりからは、そのゆらぎが災いしてか(私は絶対それが理由だと思っていますが)彼らの音楽がヒットしたり、ということは無かったように思います。特に2nd Album以降では、そのゆらぎだけでなく彼らの中での試行錯誤もあったのではないかと思います。『RAINBOW』というミニアルバムがあるのですが、これが恐ろしく聴きにくい(苦笑)んですね。いや、もちろんこういう音が好きな人もおられるとは思いますが、それまでのCORE OF SOULの音に慣れ親しんだものとしては、「これが続いたらどうしようかな」思っていました。流れが変わったのは、『ONE LOVE,ONEDAY,ONE LIFE!』に入っているシングルとしては一番早くリリースされた『アゲハ』という曲だったように思います。これも以前このブログで触れましたが*3、この頃から音が安定してきたんですね。ひとつ、『アゲハ』『夢乗りRIDERS』に代表されるようなロック色の強いものとして、もう一方は原点回帰的な傾向として、安定を感じるようになりました。バラバラな方向に行っていた音が、このふたつのところへまとまったように思います。『希望ヶ丘の風』が興味深いというのは*4、このふたつをある意味で兼ね備えたものである、と感じたからです。このところFukkoが書いていたロック色の強い曲と通じるところはありますが、しかし作曲にはSong Ruiも携わり、しかも『Flying People』(この曲もふたりによる合作です)のような雰囲気もある…彼らの結論のひとつなのではないかな、と。
ふたつの傾向―まぁ私の勝手な分類ではありますが―について…前者のロック色というものはもちろんシングルとして先に発表されているものがあるわけですが、後者の原点回帰についても少し。まず、やはりBonus Tracksに触れないわけにはいかないでしょう。『クジラ』そして『FULLMOON PRAYER』という2曲が収録されていますが、これはいずれも1st Album以前に発表された、最も初期の作品です。実は私が一番初めにCORE OF SOULを聴いたのがこの『クジラ』…のはずです(笑)はず、というのは、あまり印象にないんですね。ファンの間では非常に人気のある曲で、友だちが薦めてくれたのを聴いたのですが、聴いたときには特になんとも思わなくて、後からその友だちに言われるまでは、それがCORE OF SOULであったことすら知らなかったくらいです。なので、『Flying People』をきっかけに聴き始めてからも、アルバムに収録されていなかったこの曲をわざわざ遡って聴いたりはしませんでした。しかし『ONE LOVE,ONEDAY,ONE LIFE!』のBonus Tracksに収録されたUnplugged versionを聴いたときの感想は、以前とは対照的なものになりました。歌詞にしても曲調にしても、なぜ初めて聴いたときに気づかなかったんだろう、というくらいで。アレンジの妙というよりは、私個人の心境の変化なんでしょうね(^^;で、まぁ私の感想はともかく、こういった以前の曲を演りなおす、というのは今までにはなかったことで、これは解散を控えてということももちろんあるんでしょうが、やはり原点を見直すという傾向なのかな、と思います。
Bonus Tracksは文字通りの原点回帰ですが、他の曲でもこの傾向については見ることが出来るように思います。このアルバムを初めて通して聴いたときに、以前のCORE OF SOULを思い起こさせられたのが『恋の海』という曲でした。サビの手前にあるフレーズの進行がすごく彼ららしいんですね。珍しく「Music:CORE OF SOUL」というクレジットになっていて全員で作曲に当たっているところも関係があるのかもしれません。
最後に、これは特別音楽的な話ではないですが、解散ということでやはりこの曲、『Hello Hello 〜another star〜』に触れておきます。歌詞に出てくるシャトルは、もちろん彼らが日記などでもよく触れていたスペースシャトルディスカバリー、そして野口総一さんのことから来ているわけですが、このタイミングに書かれたことを考えると、どうしても解散のことを連想してしまいますね。「夢」だとか「出発」だとかいった言葉は、聴いている人へのメッセージであると同時に彼ら自身への言葉でもあるのかな、と…この曲が暗に解散のことを歌ったのかどうかは分かりませんが、少なくとも私としてはこれがひとつの布石であったのかな、と思いますし、このアルバムの内容からいっても、解散という決断はそれほど驚くようなことではないようにも思います。『RAINBOW』のように迷っていた(と私が思う)時期ではなく、それがあるところで結実した今ならば、納得すら出来るんじゃないでしょうか。
…とはいえ、この音楽が聴けなくなるのが寂しいのは確かです。誰かの強烈な個性に惹かれてこのグループを好きだったわけではなく、3人のメンバーの多様な音楽性や微妙なバランス(それはときに崩れかかっていましたが・苦笑)が好きだったので、たとえ個人で音楽活動が続けられるとなっても、この音はもう生まれてこないわけですから。ライブでは感極まってしまうでしょうね(^^;もともとこのアルバムの内容から「ライブは泣きそうだな」とか思っていたので、最後となるときっと…(笑)

*1:http://www.coreofsoul.com/

*2:去年の2月4日ですね。それ以外でもCORE OF SOULについては何度か書いています。興味のある方は上の検索スペースから検索してみてください。

*3:昨年8月11日の記事です。

*4:途中が長すぎてこの曲の話をしていたことを忘れていた方も多いかと思いますが…というか何が本筋かよく分かりませんね(笑)