「I'm waiting 4 you」

何度か聴いて、自分の中で飲み込めてきたので、自分なりの解釈も含めて紹介のようなものを書いてみます。とはいっても、また聴いていくうちに違った捉えかたに変わることもあるので、現時点でのものという限定つきではあります。

「I'm waiting 4 you」GARNET CROW

  1. 夕月夜
  2. 冷たい影
  3. 忘れ咲き
  4. 君を飾る花を咲かそう
  5. U
  6. fill away
  7. 僕らだけの未来
  8. この冬の白さに
  9. ブルーの森で
  10. 雨上がりのBlue
  11. picture of my world
  12. Sky〜new arranged track〜
  13. 君、連れ去る時の訪れを

GARNET CROWの歌詞には、日常の生活にあふれている卑近な事柄と、とても大きな世界観が同居しているように思います。前者によって後者を説明しているとも言ってもいいかもしれません。歌詞を書いているAZUKI七さんは、いつも見ているような景色や、いつも聞こえてくるような言葉などを改めて眺め、そこから何か悟った人なのかなとさえ最近は感じています。ぱっと聴いたところ、ただのラブソングみたいなものに聞こえるものも、一度そう感じてから聴いてみると新たな解釈が生まれる、今までにもそんな歌詞がいくつもありました。私としてはこのグループの音楽性はもちろんですが、それ以上に歌詞の世界観に惹かれているのかもしれません。
さて肝心の、このアルバムを聴いてどうであったか、ということですが…個人的には今まで感じてきたことがさらに深まったといえます。
特に印象的だったのが11曲目「picture of my world」と13曲目「君、連れ去る時の訪れを」です。一部引用してみると、「picture of…」のサビには「さぁ yeah- 奪ってゆけばいい(中略)私なら何一つなくしはしない」であるとか「ねぇ君はいつからそこにいて 僕の中に住みついていたんだ」というところがあります。これは自分と他者を同じものと見ているように読めると思います。これはある意味で「無我」の境地といえるのではないでしょうか。もちろん仏教の厳密な意味とは異なるかもしれませんし、この読み方にしたって深読みのし過ぎなのかもしれませんが、私と同じように感じる方もおられるはずです。この引用だけでは文脈が分からないですが、私は前後を読んだ上でなお、この考え方はそう的外れではないと思います。また「君、連れ去る…」では「無常」についての意識を持って書かれたのではないか、と思えるところが少なからずありました。すでに曲を聴いた今では、題名からもそういうところがあるように感じますし。
上に挙げた2曲は、テーマを前面に押し出した曲だと思いますが、他の曲にも同じようにテーマが込められているように、感じるものがあります。
GARNET CROWの書くテーマとして、先ほども言った「無常」ということがあると思いますが、それは言葉の上で形を変えていろいろな曲にあらわれます。このアルバムでいえば、例えば初めの「夕月夜」がそうですし、それを受け入れた上での感情が「忘れ咲き」になり、さらにそれが昇華されたとき「ブルーの森」になってくる…考えすぎでしょうか。しかし、AZUKIさん自身*1「1曲1曲が、聴いてもらった人なりの世界観に変わると思うんですよ」と書いておられますし、こういう解釈をする人もいる、ということで。
歌詞のことばかり書いていますが、音の面でもこのアルバムはとても面白いと思います。ただし最初に断っておくと、はっきり言ってGARNET CROWの音の構成は、いわゆるPOPSの定型に収まったものです。どこかで聴いたような作りも無いとは言えないですし、歌詞が飛びぬけているのに比べれば、地味とさえ言えるかもしれません。しかしこのアルバムではその中でどうやって新しいものを作るか、という苦心もあったように感じます。「U」や「fill away」はその典型かと思いますが、個人的には「U」のコード進行は多少気持ち悪いかな、とも思います(^^;実験的な意味があるのかもしれませんね。アレンジも今までと少し違いますし。
音の中で特筆すべきはメロディーでしょうか。ボーカルをされている中村由利さんが作曲をされていますが、この人の作るメロディーは、きれいなだけでなく、歌詞と合うものになっていると思います(あるいは歌詞が曲に合っているのかもしれませんが)。このアルバムでは「雨上がりのBlue」が発売前から評判になっていましたが、これも歌詞とメロディー、さらにアレンジの妙からいって、なるほどと思いました。個人的に、メロディーに限って言えば「君、連れ去る時の訪れを」が、最近のGARNET CROWの曲の中で一番好みですね。
…と、紹介なのか何なのかよく分からなくなってしまいましたが、要は面白いアルバムだということです(笑)こんな長い文を最後まで読まれた方は少ないかと思いますが、もし興味を持たれたら、一度聴いてみて感想などを聞かせてください。

*1:訂正:完全に勘違いしていました…この一文を書いておられたのは中村さんです。